双鳳文杏葉  各務原市舟塚古墳出土 (小川コレクション)
 

 開発による遺跡破壊と言うと、いつ頃を思い浮かべるでしょうか。たぶん戦後の高度成長期やバブルの頃ではないでしょう か。現に昭和30年代まで、岐阜の山々には多数の古墳群がありましたが、今やその多くが壊滅されました。しかし、実は明治期から大変な開発が進められており、 古墳や遺跡は平地部から順に次々と破壊されていたのです。つまり、平地部に古 墳はほとんどないという認識は誤りで、既に壊されていたのです。
 私は昭和30年代より岐阜の各地を踏査し始め、40年代以後、開発によって見る影もなく地形が変貌したと実感しています。ところが栄一の記 録を見ますと、明治期に史跡が大量に壊されるのを見て、せめて記録だけでもと思って踏査し始めた と書いています。そして、昭和30年代に入ると急激に地形が変貌して、畑は残っていても史跡は分からなくなった、と伝えています。私は旧状を知る数少ない一人でしょうが、実は本当の旧状は知らないのです。
 既に壊されてしまった遺跡は、古い記録や収集品に頼るしかありません。このホームページは、郷土史家 小川栄一の収集した資料と記録を中心に、三代百余年に亘る研究を公開します。
 今は景気が悪く、国民が自信を喪失した時代です。しかし、こんな時代だからこそ、足元を振り返って見る必要があるので はないでしょうか。そ して何をやり残しているか、見直す必要があるのではないでしょうか。20世紀は自らの歴史や文化、つまり自らの足元を記録も取らずに破壊するという前例のない時代でした。21世紀は失われたものを再構築する時代ではな いでしょうか。岐阜は日本の東西の要所にあります。そのためにあらゆる時代を通じて非常に重要で、また面白い地域で す。資料や遺跡を少しずつ紹介していきますので、岐阜(美濃地域)の歴史や文化を改めて見直して頂ければと願っています。そして、失ったこと単に過去のこととせず、今、我々が何をすべきか提言できればと思っています。
(小川貴司)


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更新日2015年11月28日 アクセスカウンター
 


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