朝倉窯址を特定した刻印須恵器
美濃刻印須恵器は、奈良時代に美濃で製作された須恵器で、「美濃国」あるいは「美濃」の印を押したものです。
 大正13(1924)年に林魁一氏が初めて学界に報告しましたが、美濃のどこで焼かれた か分かりませんでした。
 昭和41(1966)年に至って、岐阜市芥見で宅地造成された時、散乱する須恵器の中から、小川弘一が刻印須恵器(写真)、そして窯址を発見しました。それが朝倉窯址で、ここに初めて刻印須恵器の焼成窯が特定されました。
 その後、朝倉の山の裏側で老洞窯址が発見され、そこが中心と考えられています。

小川コレクションに関わる出版物



 『美濃百踏記』シリーズ1〜3巻は、小川コレクション整理の過程で得られた研究成果を発表しています。この手法で小川コレクションを整理して貰えれば、このような成果があらゆる分野で得られると考えています。
『美濃百踏記資料編』1〜3巻は、小川弘一の拓本集です。
 小川コレクションは、県史・市史・町史など、岐阜の歴史書の殆どに掲載されていますが、2000年以降に小川コレクションを中心に扱うもの、大きく扱うもの、あるいは私がコレクションを使って書いたものなどを紹介します。


著作刊行物



『厚見中林寺・柄山窯址の研究』 (美濃百踏記 第1巻)

『美濃国刻印須恵器の研究』  (美濃百踏記 第2巻)

『古代地方都市の成立』−天智・天武期の美濃国各務評を中心に−  (美濃百踏記 第3巻)



『弘版美濃古鏡鑑』    美濃百踏記 資料編第1巻
『弘版美濃古瓦譜』    美濃百踏記 資料編第2巻
『弘版瑞柄文様瓦譜』 美濃百踏記 資料編第3巻


小川コレクションを扱う刊行物

領塚正浩・松本信治・小川貴司共著「小川栄一が記録した戦前の千葉・東京の貝塚」『市立市川考古博
物館報』第37号
稲川由利子「小川コレクション目録T」『岐阜市歴史博物館研究紀要』第16号


小川コレクションを活用した著作物

小川貴司 「小川栄一日誌に見る岐阜郷土館 ―戦時下の博物館活動について―」『岐阜市歴史博物館研究紀要』第17号
小川貴司・高橋方紀 「席田廃寺の瓦とその提起する問題」『岐阜市歴史博物館研究紀要』第18号
小川貴司 「伝小島出土鬼面文鐙瓦について」『岐阜市歴史博物館研究紀要』第19号
小川貴司 「瓦の語る美濃国と各務郡−具体的に瓦を証拠として扱うと何が見えてくるか−」『かかみ野古代史紀行』第8号
小川貴司 「考察編」『山田寺跡』 西村勝広編 各務原市埋蔵文化財調査センター
各務原市歴史民俗資料館 「柳田国男とおがせ池の龍王伝説」 資料館だより 第30号
小川貴司 「塔心礎と瓦の語る笠松の古代」 『木曽川学研究』 第9号
小川貴司 「岐阜市長良龍門寺古墳備忘録 ― 小川弘一の業績とその父子の記 ―」『土筆』第11号