『美濃百踏記』
 『美濃百踏記』シリーズは、小川コレクションの研究紀要です。当家では、岐阜において三代百年に亘って郷土資料
の研究と収集に努めてきました。この間に人々の習慣や生活はすっかり変わってしまい、遺跡や近郊の風景は開発に
よって多くが壊滅しました。また、岐阜空襲・大垣空襲によって消滅した文化財や、代替わりによって行方不明となった
個人資料も少なくありません。 これらのために当家の資料 ・記録が唯一の情報となってしまったものも少なくありませ
ん。このような事情から、当家の資料・記録類はもはや個人を越えて美濃の財産と考えております。そのために小川コ
レクションの一括寄贈を昭和20年代より申し出ていますが、なかなか合意に至らず、既に50年近くも経過してしまいまし
た。この間に当家の調査活動も保管も寄贈交渉も三代を経過しました。資料の保存・調査・研究・教育普及活動は、個
人の負担で行なうべきことではないと考えています。しかし、小川家としてその研究と活用法をまずは示す必要があると
考えて刊行したのが本シリーズです。


『厚見中林寺・柄山窯址の研究』

(美濃百踏記 第1巻) 小川貴司著


A4版 258頁 \9,000+税 言叢社刊

ISBN4-905913-74-8 C3021
序 章 瑞龍寺址・柄山窯址研究の経過
第1章 小川栄一による瑞龍寺址・柄山窯址の研究
 第1節 栄一の遺稿にみる「厚見寺」研究  
 第2節 厚見中林寺・柄山窯址に関わる栄一の記録類
第2章 瑞龍寺・柄山窯址出土の古瓦
 第1節 瑞龍寺出土古瓦
 小川家所蔵古瓦・栄一手拓古瓦拓影資料
 第2節 柄山窯址出土古瓦
 小川家所蔵古瓦・栄一手拓古瓦拓影資料
第3章 瑞龍寺・柄山出土文様瓦の研究
 第1節 文様瓦の種類と製作法
 文様の分類・施文具と施文の規則・平瓦の製作法
 第2節 柄山窯址の調査状況
 第3節 瑞龍寺の調査状況
 第4節 文様編年の可能性
 第5節 推定される厚見中林寺と今後の課題
付 編 美濃文化史博物館に就て
『美濃国刻印須恵器の研究』

(美濃百踏記 第2巻) 小川貴司著

A4版 136頁 \3,800+税 言叢社刊
ISBN4-905913-78-0 C3021
序 「美濃国」刻印須恵器研究の経過

第1章 栄一の記録と家蔵刻印須恵器

 第1節 栄一の記録した「美濃国」刻印須恵器

 第2節 家蔵刻印須恵器とその問題点

第2章 老洞窯跡出土の刻印須恵器

 第1節 刻印の分類

 第2節 刻印の類型

 第3節 刻印の編年と段階

 第4節 箆書き「美濃国」の種類とその意義

 第5節「美濃国」修正施印の意義

 第6節 刻印須恵器の提起する問題



付篇1 『美濃古建築遺瓦発見地図録二』における各務原市域の資料価
値 (渡辺博人)

付篇2 数奇なる調書『美濃考古民俗資料調書』
『古代地方都市の成立 −天智・天武期の美濃国各務評を中心に−
(美濃百踏記 第3巻) 小川 貴司 著

 本書は、美濃古代史研究に欠かせない基本資料を公開し、それを元に美濃古代史に論及します。美濃国の初期寺院は不破 郡・厚見郡・可児 郡で成立します。各務郡はそれより遅れますが、蘇原の台地に山田寺・平蔵寺・野口廃寺の3ヶ寺、堀込野・ 長者屋敷・長者屋敷東・天王前・薬 師に瓦建築が造成され、他に木戸礎石群・広畑・位能神社址などの重要な史跡も南北 1400m、東西900mの台地上に密集して造営されます。そ の中心と思われる堀込野・野口廃寺周辺に「国分」の伝承がありま す。更に、この密集地の北600mの低位台地に加佐美廃寺があり、その北 600mの丘陵に蘇原北部窯址群が存在します。
本書はこれらを個別に実地検証した上で、全体像について論及します。即ち、台地北部の平蔵寺・山田寺は660年代に造営が 開始されますが、 南部は670年代に俄に造営され、それには壬申の乱で総大将を務めた村国男依一族が関わったと推測され ます。壬申の乱については、美濃の 立場から改めて検証しております。特に御野戸籍については、乱における三井田里の戦 死者数を50名と試算し、深刻な社会問題の発生していた ことに論及しております。美濃は川原寺式鐙瓦が多いと言われます が、実態は中濃地区、長良川水系に限った現象であることを検証しておりま す。そして、それらの中に大和に於いて模刻した笵 と、在地で模刻した笵の存在することを検証しております。大和における模刻の時期は2度あ り、最初が天智期、後が天武期で あること、そして川原寺式を取り入れた郡は、原則として一郡一寺一窯が成立しますが、それは中濃地区に限 られた現象であ ることを検証しております。
A4版 240頁,内図版8頁

定価 \8,000+税 言叢社刊

ISBN4-905913-97-7 C3021





第1章 小川栄一による古代各務郡の研究
 1.山田寺古殿堂礎石/2.山田寺址/3.蘇原村古瓦出所地
 4.美濃国護国之寺金銅鉢と山田寺金椀/5.荒井山古墳及び山田寺阯
調書
 6.丁酉八月蘇原鵜沼町調査記/7.稲葉郡蘇原小学校蔵考古資料/
8.平蔵寺考古 資

 9.美濃古瓦譜四/10.美濃古建築遺瓦発見地図録二
第2章 各務郡蘇原の古代寺院
 第1節 山田寺址と木戸礎石群/第2節 平蔵寺址と薬師/第3節 野口
位能と堀込野
 第4節 長者屋敷と長者屋敷東/第5節 加佐見廃寺/第6節 天王前・
広畑
第3章 各務郡蘇原の瓦窯址
第4章 各務郡における瓦型式
 第1節 出土地におけるセット関係/第2節 瓦型式の相互関係
第5章 山田寺に纏わる人物
 第1節 護命僧正と山田寺/第2節 石川麻呂 ・山田寺・飛鳥
第6章 壬申の乱と美濃
 第1節 壬申の乱の経過/第2節 大海人皇子の勝因
 第3節 村国男依の役割とその評価/第4節 村国一族と各務郡
 第5節 御野国戸籍に残る壬申の乱の影響
第7章 美濃古代寺院の展開と蘇原の都市空間
 第1節 美濃における川原寺式の受容と展開
 第2節 蘇原寺院群の成立
終章 まとめ

購入の御案内
郵便振替口座 00170−2−668259 小川貴司

岐阜市内では、岐阜市歴史博物館販売コーナー、自由書房で扱って頂いております

言叢社 Tel.03-3262-4827 東京都千代田区西神田2-4-1 東方学会本館〒101-0065


今後の刊行予定
 第4巻以降は、諸々の事情によって大いに変更しますが、全体像を理解して頂くために列記しますと、およそ下記のよ
うな内容を想定しています。現在、複数の検討を進めており、その中で見通しの立ったものから刊行するつもりです。た
だ、中林寺と柄山だけで1冊になったように、他の寺院も細分されるものがあります。少なくとも古墳や縄文、陶磁器、民
俗などは、間違いなく数冊に分けなければ収まりません。現在のペースで進めていけば数十冊に及ぶことは確実で、私
の年齢と能力と資金と相談しながら進めています。また、下記以外であっても、写真や絵葉書類、武具、近代史資料も
あり、要は編集者の視点と実力次第と思われます。
美濃の舶載資料
美濃の古墳
美濃の須恵器
美濃の古鏡
弘一調査の古墳
中濃の古代寺院
東濃の古代寺院
西濃の古代寺院
県外瓦資料
美濃の陶磁器(生産窯)
美濃の梵鐘
美濃の鉦・磬・鰐口
美濃の城郭資料
美濃の弥生
美濃の縄文
美濃の貝塚
美濃の民俗
岐阜の戦災資料
濃尾大震災と復興
岐阜の交通資料
古文書

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